TGJ(津学生情報室)

取材日:平成26年10月30日(木)、11月4日(火)

取材先:TGJ(津学生情報室)(津市)

レポーター名:大矢、可知、狩野

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          ~学生目線で津を再発見!津学生情報室~

2014年11月、津に新たな情報誌「Loupe(ルーペ)」が生まれた。この情報誌では津市にある大門商店街を中心に、津市中部の魅力的な「場所・人・もの」を紹介している。この情報誌を製作したのは、三重大学の学生を中心に結成された「TGJ津学生情報室」(以下TGJ)という団体である。彼女たちは一体どんな思いでこの情報誌を製作したのか。19名の活動メンバーのうち、中心メンバー4人に話を伺った。


〇本当のきっかけは軽い興味だった

 代表の佐藤(さとう)真代(まよ)さんと副代表の矢野杏奈(やのあんな)さんは三重大学の地域戦略センターの学生スタッフを大学1年生からしていた。そこで津市と三重大学地域戦略センターが連携して開催する「中心市街地活性化タスクフォース」という事業を知り、参加することになったが、本当のところはこの事業の準備会の進行アルバイトという参加の仕方だったそうだ。「時間もあるし…アルバイトだし…」というものが参加のきっかけと矢野さんは話してくれた。しかし、そこで分けた4つのチームの1つである「情報発信」チームに残ったのは佐藤さんと矢野さんの2人と三重大学の職員2人だった。進行アルバイトだと思い参加したが、進行する以前にメンバーがおらず、代表も決められない。だったら…という流れで進行アルバイトから2人は代表と副代表になった。そして、今年の2月に津市の市長と三重大学の副学長の前で、学生の津市の商店街に対する意識などのデータを基に、商店街の情報誌の必要性を訴える最終発表を行い、市長と副学長から激励の言葉を頂いた。発表前は、学生が学生向けの情報誌を作成することを地域の方々に受け入れてもらえないではないかという不安があったそうだ。しかしながら、その予想に反し、発表後には地域の方々から「頑張ってね。」という応援の言葉を頂き、本格的な活動がスタートする。ここで、佐藤さん、矢野さんに加え、ライターリーダーの具志堅(ぐしけん)百合(ゆり)香(か)さん、デザイナーリーダーの浪江(なみえ)由(ゆ)唯(い)さんが新たに仲間に入った。3月にこの4名でミーティングを行い、その場で「TGJ」という団体名が決定した。


〇こだわりを探る

 作成した情報誌は今年の三重大学祭にて1冊100円で販売された。100円という価格にしたのは、学内の友人に対していくらであれば購入するかという質問をした中で100円であれば購入するという意見が比較的多かったため、手に取りやすい価格として設定されたそうだ。そして、無料ではなくあえて有料にしたのには、自分が買ったという意識、手にとった思いを大切にしてもらいたいという願いが込められている。

無料配布ではなく、100円で販売したからには買ってくれた人の思いを裏切りたくない。そんな思いから作る情報誌には様々なこだわりが詰まっている。まず、情報誌のタイトルを「Loupe」にしたところである。虫眼鏡を通じて物を見るように、この「Loupe(ルーペ)」を通じて津のまちに焦点を当ててほしい。津を見てほしい。津に対する思いが込められているのだ。そして、この冊子にはカメラマン、デザイナー、ライターのそれぞれのこだわりも多く詰まっている。カメラマンの立場からは必ず人の表情や商品をしっかり撮ることに重点を置いていた。デザイナーは取材には同行しておらず、ライターやカメラマンから上がってきた写真の中から、津の魅力を感じた写真を厳選して冊子に使用したそうだ。

一般的な観光情報誌の場合、掲載されるのは商品そのものや店の雰囲気といった「見た目」と、ライターの「レビュー」のみである。しかしLoupeでは、それらに加えてもう1つの要素が入っている。それは「インタビュー」である。インタビューに重点を置くのは、紹介するお店や商品の特徴を掘り下げたいからだそうだ。お店、商品のこだわりを探るということを意識してインタビューをする。それがライターのこだわりである。

 一見すると若者ウケしそうなポップな文章・デザインではない。しかし、「インタビュー」を加えたことで「見た目」そして「レビュー」という2つの要素に深みが増し、若者をはじめとして様々な世代の人々が引き込まれるような情報誌となっている。佐藤さんは、「結果的に学生だけでなく、地域の方々などにも興味を持っていただいたので本当に嬉しかった」と喜びを語ってくれた。


〇学生と地域をつなぐ存在に

 三重大学祭での出会いが忘れられないと佐藤さんは言う。TGJが取り上げられた新聞を読み、わざわざ購入するために三重大学祭に足を運んでくれた地域住民がいたそうだ。「購入したもののうち1冊を津市外に住んでいる息子に送ると言ってもらって、もうめちゃくちゃ嬉しかったですね」と佐藤さんは嬉しそうに教えてくれた。この経験もあり、現在は三重大学生協や、別所書店をはじめとする津市内の店で販売しているが、今後はさらに津市内にある他大学や他店にも置いていただけるようにしていきたいということだ。

そして、特に強く佐藤さんが語っていたのは、TGJの継続的な活動である。今までも学生による津の情報誌は存在していたそうだ。しかし、活動に携わっていたメインの学生が卒業するとともに自然消滅していった。だからこそ、自分たちの代で終わらせるのではなく、継続して続けていくことを大切にしていきたいと語ってくれた。地域の人からの応援に応えるためにも、短期間で仕上げたものよりもしっかりとした内容の濃いものを届けたい。その思いを持ちながら、1年かけて津の魅力を発見していき、来年の三重大学祭で次号の発行をする予定だ。「次号では津という街をより様々な視点から見ていきたいと思っている。そして、学生と地域をつなぐ存在にLoupeがなっていけるようにしたい。」と佐藤さんは早くも意気込んでいた。

✤編集後記✤

〈大矢恵理佳〉

代表の佐藤さんは、「自分の関わった街が好きで、自分がその街で楽しく過ごしたいから三重大学以外のところも知りたくなった」と語っていた。この言葉を聞き、このような地元愛や地域愛の強い佐藤さんだから、この活動を行うことができたのではないかと思った。そして、この思いがあったからこそLoupeが生まれ、学生や地域の方々に津の魅力を発信することができたのではないだろうか。まだまだ、TGJの活動は始まったばかりである。今後どのように続いていくのか楽しみである。

〈可知宗一朗〉

 自分と同じ学年の人がこのような素晴らしい情報誌を作っていることには非常に驚きました。それと共に、彼女たちの取り組みと自分たちの取り組みは、「魅力」を伝えるという点では似ていると感じ、刺激をうけました。今回の取材を通して、自分もこの「ガクレポ」の活動を頑張っていこうという思いがより一層強くなりました。

〈狩野紗希〉

 今回お話を伺ったメンバーの多くは京都府や石川県など他県の出身です。昔から津市を知っているわけではないのに、津市の魅力を発見しようと思うのはなぜかを佐藤さんに聞いてみたところ、「楽しく過ごしたいという思いがあるのかもしれない」と仰っていました。自分の関わる町を好きになって楽しく過ごしたい。だから通っている大学がある津市の魅力を発見して好きになりたい。そんな思いを笑顔で話すところがとても印象的で、これからまだまだ楽しい魅力的なものを発見してくれるのではないかと思いました。


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