NPO法人 人材育成センター
取材日:2014年11月5日
取材先:NPO法人 人材育成センター
レポーター名:駿河、張山、岩井
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~企業と人材の橋渡し~
近鉄四日市駅から歩くこと3分。決して大きくはないビルの1フロアの中に、就労支援によって「多くの社会人」を送り出しているNPO法人がある。それは今回取材をさせていただいたNPO法人人材育成センター(以下、人材育成センター)である。人材育成センターとは、一体どんなことをしているのか、またそこにどんな思いがあるのだろうか。
〇立ち上げエピソード
人材育成センターは2010年に、就労支援を目的に立ち上げられた。当時は就職難で、求職者の多くが専門性を身につけたいと懇願していた。そんな時、職業訓練所が形を変え、さまざまな教育機関で多種多様な教育内容を受講できるようになった。そして、公共性という面で優位性を持つNPO法人という形式で事業に乗り出した。実際に、三重県からの事業委託や三重県内の大学で講演するなど公共性の高い事業を行っている。そしてNPO法人であるために、ニーズに対して小回りの利く事業を可能にしている。
人材育成センターの平塚理事長は、自らを「ワガママ」であると語っていた。それは自分がやってみたいことに対して積極性と行動力の表れであると感じた。もともと若い時から独立心を持っており、明確なものはなくとも事業を興そうという志があったという。平塚理事長はサラリーマンを経て、職業訓練のニーズが高まってきた中で専門教育の道に足を踏み入れ、50歳で人材育成センターの立ち上げに至った。そのときには、サラリーマン時代の人脈やスキルの積み重ねが役に立ち、周りの人に支えられて事業を興すことに成功した。人に支えられたからこそ、人を支援する事業を興すことができたのではないだろうか。
〇事業内容
人材育成センターは、現在、スタッフ9人とあらゆる分野の講師を招き、四日市・津・伊勢の3つの拠点から事業を通じて地域社会に貢献することを目的として活動している。その4つの事業とは、①教育・職業訓練、②就労支援、③国際協力、④社会的人材育成である。①では主に休職者の方々が再就職するための支援として、パソコン操作・経理事務・販売サービス・農業の講座を開いている。②では再就職の際に必要な履歴書・職務経歴書・ジョブカード等の書き方や面接指導のほか、若者の未就職者対象の就職支援研修や現役の学生を対象とした地域の中小企業へのインターンシップをしている。③では三重県にいる海外からの留学生と県内中小企業の出会いの場を提供することや、将来海外で活躍できるグローバル人材の育成をしている。そして、④では全国的に見て遅れをとっている三重県の障がい者雇用を改善するため、障がい者の農業インターンシップの活動や、県内の大学と連携して公務員試験対策講座を開いている。
これら4つの事業に共通しているのが「キャリア・カウンセリング」である。利用者の方々がどのような仕事に就きたいのかということなどの相談に乗り、利用者の方々がはじめの一歩を踏み出すその背中を後押ししている。お話を伺った職員の伊藤亮さんは、色彩心理カウンセラーの資格を持ち、「色」を使った心理分析によって利用者の方が自分自身を知るための手助けをしている。人材育成センターでは、こうした様々な角度から自己を理解し、将来を自ら決定するための支援を大切にしている。
〇県内企業を盛り上げたい
事業所のある四日市市だけでなく、三重県全域をターゲットとして事業を行っている人材育成センターであるが、その強みは何なのか。それは、地域密着型のNPO法人であるということだ。平塚理事長いわく、地元をよく知る近い存在だからこそ、企業と人材の橋渡しになりやすいのだという。また、地元だからこそ、もし離職したとしてもまた相談に来ていただけるのだそうだ。
三重県は中小企業の割合が多く、知名度が高くない企業も多いため、企業側にもアピールする場の提供を行っている。例えば、「県内企業と大学生を結ぶ事業」がその1つである。この事業は、三重県の私立大学と地元中小企業を結び付けるために、説明会を主催したり、インターンを斡旋したりするというものである。また、この事業は県からの委託を受けて行っているものであり、人材育成センターでは、この他にも様々な県の委託による事業を行っている。「人材育成センターなら任せられる」と、県からの信頼を得られていること、また、これらの事業によって、三重県の若者や女性、留学生が県内企業へ就職することによって、県内の企業が盛り上がっていくことに平塚理事長は喜びを感じているという。
平塚理事長、伊藤さんのお二人がさらに喜びを感じることがある。それは、利用者の方が就職して、顔つきが変わったことであるという。とりわけ、かつては自信のなかった若者の自信がついた姿を見ると、嬉しい気持ちになるとのことである。そうした変化の第一歩をこれからも手助けしていきたいとお二人は語っていた。
〇これから
今後の展望について平塚理事長に伺った。
基本的なビジネスマナーなどのスキルをしっかり身に付けてもらったうえで、それぞれの人に合った形での“人材育成”をどううまくやっていくのかを考えていきたいという。また、求職者のニーズに合わせて事業の幅をより広げていきたいともおっしゃっており、企業と人材の橋渡しとなって、より多くの求職者の背中を押してあげたいとのことである。
職を求める求職者の声、人材を求める企業の声のどちらにも耳を傾け、橋渡しを行う人材育成センター。彼らの思いと行動力が、三重県により多くの“橋”を築いていくのだろう。今後の更なるご活躍に期待したい。
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