NPO法人ドットジェイピー
取材先 NPO 法人ドットジェイピー 三重支部
取材日 2016 年 5 月 19 日
レポーター名 森、廣岡、林
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆~学生から学生へ、政治を広める~
NPO 法人ドットジェイピー(以下ドットジェイピー)は、全国 15 支部で約 400 人の大学生スタッ フが主体となり、運営を行う団体です。若年層の投票率向上を目指し、若者が政治に触れる機会づくりとして議員インターンシップを行っています。ここ三重県でも、今年発足したばかりのフレッシュな三重支部が若者と政治家の架け橋となるため奮闘しています。若者と政治についての想いを、三重支部のスタッフであり三重大学の藤野奈々(ふじのなな)さん、松林晃平(まつばやしこうへい) さん、渡邉望帆(わたなべみほ)さんに伺いました。
〇議員と学生の架け橋 ドットジェイピー
ドットジェイピーは1989年に設立、これまで全国で数々のインターン生を輩出してきた。これまで東海支部として愛知と三重で一緒に活動を行っていたが今年の4月から独立し、三重支部が発 足した。三重支部は“つ(津)くりだそう”というビジョンを掲げており、そのビジョンから、これから発 展していこうという気概が感じられる。ドットジェイピーの主な活動として、学生が政治に関わる機会を提供する「議員インターンシップ」がある。学生が国会議員や県議会議員、市議会議員の事務所に赴きそこでインターンシップを経験できるプログラムだ。ドットジェイピースタッフが参加学生の将来の夢や、やりたいことを聴き、要望にマッチしそうな議員を探す。そして学生の受け入れを依頼し、議員との窓口をつくってくれる。その後、実際に学生と議員で面談を行い、学生の希望に 叶っていればインターンシップを開始するという流れである。
議員インターンシップは「毎日違うことが経験できる 欲張りな社会見学」と藤野さんは言う。例 えば、農業に興味のある学生が、TPP に関わりがある議員のもとでインターンシップを行ったり、教師志望の学生が教育団体と交流する機会をもらえたりするなど、意欲があればたくさんのことを経験できる。学生の「やりたいこと」を重視し、叶え、それを学び・関心へとつなげることがドットジ ェイピーの活動意義である。
〇政治と地域の関わり
ドットジェイピーが行う地域活性化の取り組みとして、様々なイベントを開いて議員と 県民の距離を縮める活動がある。例えば、伊勢志摩サミットが開かれた 5 月 28 日にはワー ルド・カフェ形式で教育や子育て、スポーツなど様々なテーマについて自由に話し合うとい うイベントを開催した。ワールド・カフェとは、“カフェ”にいるようなリラックスした雰囲 気の中で、参加者が少人数に分かれて自由に対話を行うことである。議員との敷居が低くなるような形式をとることで、学生は議員とフランクに対話ができるそうだ。こうした機会を通じて身近な教育や子育てなど、どの分野についても「政治」が関わっていることを知って ほしいという目的がある。
また、三重県内の高校への出前授業も行っている。18 歳から選挙権が認められたこともあり、高校生にももっと政治に関心を持ってもらうために、学校から依頼を受けるのだという。授業の内容は、県知事選挙と題してスタッフが候補者になりきって演説し、高校生に模 擬投票をしてもらうというものであり、積極的に選挙に参加することを促している。 さらに、「未来国会」「未来自治体」というコンテストのサポートも実施している。このコンテストは、実際に若者が総理大臣や首長になりきって政策立案をするというものだ。この 出場者の援助も、学生スタッフが行っている。
三重支部では上記以外にも、様々な取り組みを行っている。そのどれもが学生と議員の間の壁をなくし、身近な関係構築をめざすものばかりだ。議員に親近感を持ってもらうことが、若者の政治への積極的参加につながるため、ドットジェイピーの活動は若者の政治参加に 大きな影響をもたらしているのだろう。
〇ドットジェイピーの未来
藤野さんは、「何か目指したいものがある子だけでなく、将来の夢がはっきりと決まっていない、又はぼんやりしたものを解決したい子にも議員インターンシップに参加してほしい」と語ってくれた。夢への一歩を踏み出す過程に議員インターンシップを取り入れることで、若者の日本を変える意識や政治的関心が高まり、若年投票率が向上することを期待している。しかし、学生の中には議員は近づきがたいというイメージを持ち、議員インターンシップへの参加を不安に思う人も少なくない。その「議員は堅い」というイメージをイベントなど通して払拭していくことで、学生と議員の窓口をさらに拡大させていく、と展望を話し てくれた。
《取材後記》
「政治」というと、私たちは真っ先に「堅い」「難しそう」というイメージを思い浮かべがちです。それは普段テレビや新聞でしか接する機会がないため、私の生活と密接に関係していることを実感できないからでしょう。これまで私自身も政治について知ることを避けてきたと思います。しかし、今回の取材を通して「政治」は遠い存在のものではなく、案外身近なところにあったのだということに気づくことができました。特に、給食を変えたくて議員になった人のエピソードを聞いた時、「議員」という職業の人はとても近い存在である という新たな印象を受けました。
またこの団体のスタッフの方々は、みな将来政治分野の道に進むのかと私は予想していました。しかし実際は、様々な学部学科の人たちから構成されており、必ずしも政治分野に進むスタッフばかりではないということに驚きました。さらに、体験できる議員インターンシップは、政治分野だけでなく教育や環境など幅広い分野です。そのような意味でも、政治とはどんな人にも身近であると実感しました。そして、学生と議員の距離を縮めることができる議員インターンシップは、若者の積極的政治参加への大変有効なアプローチ方法であ ると考えられます。 同年代で政治に関心をもち、若者の政治参加を推進するという魅力的な活動をされているドットジェイピーのスタッフの方々に尊敬の念を抱きました。それとともに、行っている活動は異なるにせよ、同じ学生として取材・記事を通して取材先の魅力を伝える活動を行っている私たちにとって今回の取材はとても良い刺激になりました。そして、ドットジェイピーの取り組みが多くの人に周知されていけば、日本に明るい未来が待っていると感じています。
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