みやがわ森選組

森とともに生きる

取材日:平成26 年7 月2 日

取材先:NPO 法人みやがわ森選組

レポーター名:丹羽、狩野、岩井、大矢、樋口

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〇みやがわ森選組結成談

 三重県多気郡大台町(旧宮川村)は宮川という大きな河川が流れ、豊かな自然に囲まれた地域である。大台ケ原や大杉谷などの景勝地があるところとしても知られている地域だ。しかし、平成16 年、大台町はかつて経験したことがないほどの集中豪雨に襲われた。この集中豪雨により住む家は奪われ、多くの命が失われた。この惨事を繰り返さないように強い山をつくろうと植樹をはじめたのがNPO 法人みやがわ森選組(以下みやがわ森選組)結成のきっかけである。


〇みやがわ森選組の活動内容

 みやがわ森選組には現在6人の幹部を中心に活動しており、そのほとんどがI ターン(都会から地方に定住すること)者だ。今回取材させていただいた岡本雄大さんもI ターン者で、35歳のとき、「自分の子供に自然の中で育てたい」という思いをもって、大阪からここ大台町にやってきた。

 みやがわ森選組は主に「かえる道場」や「まんぷく研究所」といったユニークな名前がついたイベントを多く開催しているが、これらは岡本さんがアイデアを出している。しかし、細かいプログラムを決定するなどブラッシュアップはメンバーで話し合いながら行う。かえるのことを学べる「かえる道場」は、かえる好きのメンバーがいたということをきっかけに始まったイベントである。かえるがとても好きで詳しいというメンバーに、その得意な面を活かして何かイベントをやろうという提案をしたときに生まれたアイデアだった。「まんぷく研究所」は、そこで収穫されたものを食べることのみを目的としていない。自然の恵みをただ頂くだけでは罪深い。だから頂く前にみんなで労働する。自分の食べるものを自らの力でつくるというコンセプトになっているのだ。「まんぷく研究所」では時期に合ったものを収穫し、食べることが多い。最近はアユの塩焼き、シカ肉チャーハンがある。次はジャガイモ料理だと岡本さんは話す。


〇農業インターンシップ

 「NPPⅡ(農業インターンシップ)」とは大学生がチームを組んで米作りを中心とした農作業を行うものである。このインターンシッププログラムはみやがわ森選組が兵庫県の甲南大学に提案したことから始まり今年で5 年目を迎える。岡本さんは「どうやって体を使って働くねん!」ということを大学生に身をもって知ってもらうことを念頭において考えているそうだ。そして、農作業を通して物事を自ら考え工夫し行動することやどのように行えばその作業が一発で楽に済ませることができるのかを自分で考える想像力を養ってほしいと考えている。この力を養う最初の一歩をインターンシップで踏み出してもらうことがこのプログラムの目的のひとつであり大学側からも求められていることだそうだ。夜間には自らが生産する米の販売計画を作成するためのワークを行い、経済面も学ぶ。

 この活動を通して岡本さんはどのようにすれば学生が自分で発見できるようになるのかを考えるようになったそうだ。そして、自らの行動を盗んでもらうことで学生に発見を促すように心掛けている。岡本さんは元々この活動の規模を減らそうと思っていた。しかし、2,3 年目に来た学生の一部が活動を通して飛びぬけて変化し、活動後は大学を休学し農業団体まで作ったことを知り、今ではこのインターンシップをもう2,3 校増やそうと考えているそうだ。このようにプログラム終了後も学生とのつながりは長く続いているのもこの活動が学生にとって自らの考えをも変化させる影響を持つものであることを示していると強く感じた。


〇森に対する思い

 こうした「かえる道場」、「まんぷく研究所」、「農業インターンシップ」と言った活動はみやがわ森選組の「森に対する間口を拡げたい」という思いからきている。

「森に対する間口を広げる」というのは、例えば、「木製のものを使う」や「海ではなく山へ行く」、「林業がしたい」、「この木はこういう使い方ができる」などである。こうして人々の木に関する選択肢が広がっていくきっかけにみやがわ森選組が関われるようになるために日々の活動を行っている。

そして、若い世代に職業のひとつとして林業を選択してもらえるような環境を作ることが必要だと考えているそうだ。岡本さん自身も実際に林業を行うまではこんなに楽しい仕事だと思っていなかった。だからこそ、林業の仕事について他の人々にも良さを伝えていきたいと語っていた。

こうした思いが活動の大きな推進力となっている。

<編集後記>

今回の取材を通してみやがわ森選組の自然にかける想いがわかった。岡本さんをはじめとした隊員の想いが、今後も様々な活動を通して繋がることで、大台町、いや、日本の自然が守られるのを切に願う。

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