株式会社 光機械製作所
取材日:平成26年12月3日(水)
取材先:株式会社光機械製作所(津市)
レポーター名:山根、丹羽、樋口、堀
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~個性を活かした光り輝くものづくり~
今回取材に伺ったのは、三重県津市は近鉄江戸橋駅より徒歩5分の所にある専用工作機械メーカー、株式会社光機械製作所(以下、光機械製作所)。この会社では、専用工作機械や切削工具の製造を主な事業として行っており、高い技術力とアイディアを強みとして今日まで約70年間歩んできた。その光機械製作所が近年、組織作りにおいて県内のみならず、全国的に注目されている。
2014年3月、組織の生産性向上において女性の力が積極的に活用されるよう、独自性と創意工夫のある取り組みを行っている組織を表彰する「第一回エンパワーメント大賞 奨励賞」を受賞。それに加え、性別・国籍・年齢・障がいにとらわれず一人ひとりが能力を発揮し、イノベーション、価値創造に参画していくダイバーシティ経営の推進を経営成果に結びつける先進的な取り組みを行っている企業を表彰する経済産業省の「ダイバーシティ経営企業100選」にも選ばれている。さらに、その100選の中から「APEC女性活躍推進企業50選」として、日本を代表する5社に選ばれ、今や世界的にも評価の高い企業となっている。
そこで、その取り組みとそこにある想いを、2001年から代表取締役社長を務める西岡慶子さんと経営サポートチーム・人事係係長の千田千花さんに伺った。
〇女性雇用で注目される裏には・・・
西岡社長は社長就任前、外資系企業で働き、また、その後通訳をしていたという。様々な国の人が性別に関係なく働き、力のある人が認められる、そんな世界に身をおいていた。そのような経歴から、「人にフォーカスしないといいモノづくり、企業経営はできない。そのためには優秀な人たち、志のある人たちが集まらないと・・・。」という想いが強く、個性や能力を重視した雇用を進めてきた。その結果、工作機械業界での一般的な割合を上回る約3割の女性雇用を実現し、多くの女性が活躍している。メディアでは「女性の積極登用」の側面が取り上げられがちであるが、必ずしも女性を増やそうと考えていたわけではないという。「それぞれの個性や能力を大切にした結果、たまたまその性別が女性であっただけ」と西岡社長は強調した。
この想いは雇用だけでなく製品づくりにも活きている。その一例として、ダイヤモンド工具研削盤「HRG-1000」の開発がある。ダイヤモンド工具の刃先の研磨は熟練の技術を必要としていた。それを工場で働く女性が増えているという現在のニーズに合わせて、腕力の弱い女性にも簡単に作業が出来るように、また、初心者でもわかりやすく簡単に操作できるようにと開発された。社内の機械をベースとして設計し、そこで培った使いやすさなどを製品に反映している。
〇Be Professional!:プロ意識に徹する
これは光機械製作所の基本理念だ。西岡社長は「仕事に向かうとき、その人がプロであるかどうかということはとても大事」と話す。その理念は社長の人柄を表す言葉でもある。組織としても、それぞれがプロフェッショナルとしての誇りを持って働いている、そんなイメージを持った。この理念は朝礼、全体昼礼会、社内報などでも共有され、プロ意識醸成のための育成も行われている。そのひとつに経営塾がある。幹部候補の社員を集め、経営に関する知識やプレゼンなど、ビジネスに必要なスキルを身につけるという。そこでは、一人ひとりの取り組みに対し、全体で意見を出し、改善すべきことなどを挙げ、気づきを得られる場が与えられている。人事の千田さんは、この取組みが他の社員の新たな面を発見する機会にもなっており、社員同士の結束が高まったと感じていると、話す。
〇イノベーションを通じて末永く・・・
西岡社長に社会について想うことを聞いた。「(グローバル化していく社会の中で)モノカルチャーばかりではクリエイティブなものはできない。クリエイティブになるためには、多様化が必要だ。また、最先端の技術のみを組み合すだけではイノベーションはできない。最先端技術と伝統の技術が相まって、そこに色々な人のアイディアが融合するといいものができる。時代が変われば価値観も変わる。新しい価値を生み出すために今の時代には、多様な発想が必要で、それがイノベーションを生み出す。」と西岡社長は熱く語った。老若男女・国籍に関係なく、社員一人ひとりの力が発揮されることにより、イノベーションや顧客価値を生み出せる組織作り、それこそが、社長の目指すものなのだ。
また、地域でどのような会社でありたいかと尋ねると「“光機械っていい会社らしいよ”“光機械ならなんとかしてくれるんじゃない”と言われる、そういう会社でありたい。」ともおっしゃっていた。
今後も地域はもちろん、日本にとっての“いい会社”として輝きつづけるだろう。
〇編集後記
4年 山根悠香
短大生のころから登下校の際には毎日光機械製作所の前を通っていたため、どんな取り組みをされているのか気になっていました。今回このようなご縁をいただけたこと、そして身近に感じていた企業が日本を代表するダイバーシティ企業であることに大変感銘を受けました。様々な人が分け隔てなく活き活きと働ける場がさらに増えれば、もっと日本社会が活性していくのではないか、社長のお話からそんな可能性を感じました。
4年 丹羽瑳斗志
西岡社長のグローバル化や雇用に関する独特な考え方に感銘を受けました。また、強い志があるからこそ他から注目を受けるような活動を行うことができているのだと取材を通して感じました。今後も株式会社光機械製作所のさらなる発展にガクレポとしても一個人としても注目していきたいです。
3年 樋口翔汰
すべてはいいモノをつくりたいという思いから多様な雇用をしているということが分かった。また、光機械製作所で働く人々のイキイキとした様を直接感じ取ることができた。以下、個人的な感想になるが、様々な視点を取り入れることが大切というのは自分自身にも当てはまることだなと感じた。組織ならば、人材を集めることでそれを可能とするが、私の場合は様々な経験・様々な人との出会い等を通じて可能になることだというふうに考えた。今回の取材もまた私の経験であり、出会いである。これからも新たな経験・出会いを通じて新たな視点を取り込んでいきたいと今回の取材を経て改めて感じた。
3年 堀裕介
「その人の個性を重視する」という信念の結果が雇用の多様性なのだとわかった。あくまで女性、高齢者、外国の方のニーズが現代に求められてきたからであり、女性の積極雇用を行っているわけではないというメッセージを西岡社長から強く感じた。
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